リバティーンズ物語 ピート・ドハーティとカール・バラーの悪徳の栄え (P‐Vine BOOKs)
THE LIBERTINESの成り立ちから活動休止までをストーリーとして記録したノンフィクション・ドキュメンタリー。
メンバーたちをはじめ、アランマッギー、ジェフトラビス、リサムーリッシュ など関係者による充実したインタビューや証言をしっかり集めたうえで構成されているため、真実味があるし、内容もドラマチックだ。
確かに、どこまでが真実の記述かわからなくなるほど、著書ピートウィルシュのかなり偏った視点で書かれた部分も多い。
しかし、ドキュメンタリー本として、ひとつのストーリーにまとめるには、ある意味必要な要素だと思うし、
ヒューマンドラマとしても感情移入できる要素がある。
ロックバンドのドキュメンタリー本としては傑作本だと思います。
カール・バラー
リバティーンズのフロントマン、カール・バラー初のソロアルバムの内容は、いわゆる最近のインディーロックとは若干距離を置いたものになっている。「I Get Along」やDPT1stみたいなガリガリのギターはどこにもない。むしろピアノやストリングスを用いてどこかゴシック的な色彩さえ感じさせる。全体の曲調について単純にいえばDirty Pretty Things第二作の延長にあるように思える。リバティーンズ時代にはありえなかった雰囲気で、単純に「リバティーンズが好きだから」という人に勧めるには気後れするとも言えるかも。
個人的なお勧めは#5、7。
5曲目「Run With The Boys」はアルバム中最もポップな曲で、DPTの「Plastic Hearts」みたいな雰囲気。
7曲目「So Long, My Lover」はむしろピートが書きそうなバラード。
全体的には非常にカールの実験的な側面が生まれた面白いアルバムだと感じた。
あと言いたいのは、是非日本版を買ってほしいということ。
日本語ライナーノーツ中に引用されるカールの言葉は、いちいち深読みさせられるが、要するに彼は「バンド」ではない自分を表現したかったということを言いたがっていると読めた。俳優業に手を出すくらいだし。
ボーナストラックは本編中の曲とともにやはり面白い。ぜひ日本版を。
アルバムの内容には文句はないが、ピートとカールが一緒になると1+1が10にも20にもなるということを知っている身としてはどうしてもソロ活動に積極的になれないというのが本音である。それだけにこのアルバムがあまりにも成功してしまうことは嬉しい半面恐怖でもある。
ピート・ドハーティというこの世で最も信用できない人間に惚れてしまった我々は、その放蕩者を「その気」にさせることができる(もしかしたらこの世で唯一の人間である)カール・バラーという男に夢を託すしかない。それゆえ私はこのアルバムを聴いてしまう。8月、リーズ・レディングフェスティバルで幻のようなリユニオンを見せつけられた今となっては、このアルバムは悪魔の誘惑にも唯一の希望にも見える。








